磯子区のお庭リフォーム工事で排水について考える
外構やお庭の設計をしていて時々「雨水をどう処理しようか」と悩むときがあります。
当社は個人邸をメインに施工させていただいておりますので排水と言っても大規模な都市計画等とは種類の違うお話なのですが、個人邸ならではの問題として「隣地に気を遣う」という点があげられます。
個人邸の場合、一般的に敷地内の雨水は雨水マスに集めて雨水管に流すか地中に浸透させる、また道路側であれば道路に排水する、という選択肢になるかと思います。プランニングの際に隣地側への排水を考えることは原則としてNGになります。もちろん隣地とのトラブルを回避するためですが、たとえ人間関係が良好であったとしても敷地内で雨水を処理することがプラン上のマナー(一部例外を除いて)と言えるでしょう。
今回、磯子区内でお庭の改修工事をさせていただけることになり、お客様のご要望が「できるだけ手間がかからないように」というものでした。近年、共働きでお忙しいご夫婦や歳を重ねられお庭の手入れが大変になってきたという方から多く寄せられるリクエストです。
お庭に関しては「手間がかからない」=「なるべく土を露出させない」となるケースが多いですよね。土を露出させないということはそのぶん水の処理を考えなくてはなりません。今回はタイルと固まる土で庭を覆うプランとしましたが土留めブロックとタイルテラスの間に排水のための中途半端な隙間を作りたくありませんでした。見た目の良し悪しもありますが中途半端な段差や隙間は危険なのです。しかしブロックとタイルをくっつけてしまうと水の逃げ道が無くなってしまいます。ましてや隣地側に排水することはできません。
そこでコンクリート製のU字溝でいちばん小さい呼び寸法60というサイズのものを使用してみたところ、これがしっくりきて少し嬉しくなってしまいました。もちろんグレーチングという金属のフタでカバーしています。U字溝に流れた水はテラス内部のパイプを通って砂利敷きの通路に排水されます。
地味な事ですが、これらの細かな問題を解決しながら一つの現場が作品として完成しているのです。